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免疫力アップが期待できるバナナ
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そもそも免疫力って何?
免疫力とは、「疫(病気)を免れる力」、つまり、体の中に病原菌などが入ってきても、病気にかからない抵抗力のことです。免疫は、生まれつき備わった「自然免疫」と、生後さまざまな外からの異物の刺激よって抵抗力を身につけていく「獲得免疫」の2種類に分けられます。
細菌やウイルスは、主に空気や飛沫(くしゃみや咳など)、食品などによって、口や鼻からのどの粘膜を通じて体内に侵入しますが、さまざまな免疫細胞が血液やリンパ液の流れにのってパトロールし、自然免疫と獲得免疫の2段構えのシステムで対応します。これらの自然免疫と獲得免疫の働きをするのが免疫細胞です。
免疫細胞は特に腸に多く存在し、食べ物と同時に侵入する細菌やウイルスを処理しています。
免疫力の維持には、
バナナがおすすめ!
免疫力の低下は、加齢や睡眠不足、ストレス、疲労、無理なダイエットや偏った食事による栄養不良などでおこります。
免疫細胞はたんぱく質からできており、細胞が正常に働くには糖質やビタミン、ミネラルが必要です。
これらの栄養素が不足すると、自然免疫と獲得免疫のいずれもの機能が低下することが知られています。免疫力の維持にはバランスのよい食事をとることが大切ですが、忙しい時にはきちんと食事をとることが難しいこともあります。
そういうときにバナナがおすすめです。
バナナには免疫細胞のエネルギー源になる糖質が多く含まれるだけでなく、たんぱく質の代謝に必要なビタミンB6やビオチンが多く含まれています。
ビタミンB6は免疫細胞の活性化に必要な生理活性物質(サイトカイン)を分泌に関わり、ビオチンは細菌やウイルスが侵入したときに起こる炎症を抑える物質の生成に関わります。バナナに牛乳やヨーグルト、豆乳などたんぱく質が多く含まれる食品と組み合わせることで栄養バランスを整えることができます。また、免疫力の維持にはβ-カロテンやビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化ビタミンの働きも重要です。バナナにはこれらの抗酸化ビタミンも含まれています。
ビタミンB群やビタミンCは水溶性のため、洗う、切る、加熱するなど調理によって失われやすいのですが、バナナは皮をむくだけなので、それらのビタミンをしっかりとることができるため、忙しい朝やおやつにも手軽に栄養補給できます。
バナナでお手軽に
腸内環境を整えましょう!
免疫細胞は腸の粘膜に多く存在し、腸内細菌によってコントロールされています。
腸内細菌の中でも善玉菌が優位の状態をつくり、腸内環境を良好に保つことで免疫力が維持されます。
腸内環境を整えるには、ヨーグルトや味噌、漬物などの発酵食品に含まれるビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌と、善玉菌の働きを活発にする食物繊維やオリゴ糖をとることが効果的です。日本人の食物繊維の目標摂取量は男性で21ℊ以上、女性で18ℊ以上(日本人の食事摂取基準2020年版:18~64歳の値を参照)ですが、国民健康・栄養調査(平成30年)の結果によると、20歳以上の平均摂取量は15.0gとやや不足しています。
バナナには食物繊維とオリゴ糖が多く含まれ、食物繊維は1本で1.1ℊもとることができるため、腸内環境を整えるのに役立ちます。
また、バナナのオリゴ糖は追熟や加熱によって増加します。「焼きバナナ」や「ホットバナナミルク」にするのもいいですね。
バナナで免疫力アップに期待!
バナナは腸内環境を整え、間接的に免疫力を維持するだけでなく、
免疫細胞にも直接働きかけます。バナナに含まれる成分は免疫細胞のひとつである白血球を増加させる作用や白血球の働きを活性化する作用があり、その作用は果物の中で最も強いといわれています。
特に「高地栽培バナナ」や「シュガースポット(黒い斑点)が出るまで熟したバナナ」は免疫活性作用が強く、白いスジの部分にも抗酸化成分が含まれていることが明らかになり、バナナに含まれる栄養素以外の成分にも免疫力を高める効果が期待されています。
免疫力を高めるための基本は、「十分な睡眠」、「適度な運動」、「ストレスを溜めない」、「バランスの良い食事」といわれています。毎日の食生活にバナナも取り入れて健康的に過ごしましょう。おうち時間のお供として、免疫力アップが期待できるバナナレシピもぜひ作ってみてくださいね。
- <参考文献>
- ・岩澤 晴代, 山崎 正利:バナナの品種と熟度の違いによる免疫賦活活性の多様性.第125年会 日本薬学会
要旨集(2005.3) - ・中津川研一:バナナのスジ(維管束)の抗酸化効力.学苑・生活科学紀要No.842 48-50(2010.12)
- ・山崎 正利, 上田 浩史:植物性食品中の非栄養素による免疫調節作用.栄養学雑誌58 巻 3 号 101-108(2000)
- ・Haruyo Iwasawa and Masatoshi Yamazaki: Differences in Biological Response Modifier-like Activities
According to the Strain and Maturity of Bananas. Food Sci. Technol. Res., 15 (3), 275 – 282(2009) - ・Singh B et al.: Bioactive compounds in banana and their associated health benefits - A review. Food
Chem. Sep1;206:1-11.(2016)
- <監修>
- 柴崎 真木 先生(管理栄養士 / 健康運動指導士 / 健康科学修士 / 経営学修士 )